Masuk「はい!」
ティナは力強く返事をし、新しい杖を両手でしっかりと構えた。魔力を集中させるため、大きく息を吸い込んだ。彼女の周囲の空気がわずかに震え、杖の先端の魔石がじんわりと温かい光を帯び始めた。
「ファイアショット!」
ティナの短い詠唱が終わると同時に、杖の先端に嵌め込まれた魔石が強い光を放った。その光は一瞬でティナの魔力を吸い上げ、増幅させ、炎の塊として放出した。
放たれた魔法は、もはや「ショット」と呼べるような可愛らしい火の玉ではなかった。唸りを上げ、全てを焼き尽くすかのような猛烈な熱量を伴った、巨大な火炎流だ。炎の塊は周囲の熱を巻き込み、陽炎を立ち昇らせながら、凄まじい速度で用意された的に向かって突進した。
先ほどそらが放ったものと同じように、衝撃と轟音を伴って的に激突。木材の的は、抵抗する間もなく、爆音と共に粉々に砕け散り、黒焦げの破片が四方に飛び散った。地面に着弾した火炎は爆発し、土を抉り、砂煙と焦げ臭い匂いを空に巻き上げた。ティナは両手で杖を握りしめたまま、その信じられない光景に目を奪われていた。
「……え!? な、なんで……?」
ティナは呆然と立ち尽くし、放たれた魔法の痕跡と手の中の杖を交互に見つめた。そして、次に驚きに満ちた瞳でそらを見つめた。彼女の表情は、まるで、自分の知っている世界が覆されたかのようだった。
そらは、サプライズが成功して満足そうに微笑んで、彼女の純粋な疑問に答えた。
「受付嬢が、魔石で倍増するって言ってたじゃん」
その言葉を聞いたティナは、今、自分が放った魔法の威力を改めて思い出し、ゴクリと唾を飲み込んだ。彼女は震える声で聞いてきた。その声音には、尋常ではない魔石の正体への恐怖が混じっている。
「……ちなみにですけど、この魔石って……なんですか?」
ティナは恐る恐る尋ねた。視線は杖に縫い付けられたままだ。
「ん? それ、ドラゴンの魔石だけど?」
そらは、別に大したことないという雰囲気で、さらっと当たり前のように答えた。その口調には緊張感が微塵もない。
「え!? ドラゴンを討伐したの!?」
ティナは絶叫に近い声を上げ、持っている杖が急に熱を帯びたかのように慌てて、そらの顔を凝視した。彼女の顔から一瞬で血の気が引いた。ワイバーンを含むドラゴン種がいかにこの世界で危険で規格外の存在か知っているからだ。その瞳は驚愕と恐怖に大きく見開かれ、信じられないという感情でいっぱいだった。
「まあ、そんな感じかな。他の人には内緒だよっ」
そらが頭を掻きながら、曖昧に答え、人差し指を口元に当てて「しーっ」と秘密を強調する仕草をした。
それを聞いたティナは深く溜息をつき、不安と諦めが入り混じった表情で眉をひそめて言った。
「毎回、そんな規格外なことばっかりやっていて、大丈夫なんですか? 前にも言いましたけど、ドラゴンって、そもそもこの世界で討伐できる存在じゃないんですけど……」
ティナは杖を大事そうに抱えながらも、そらの常識外れな行動に心が休まらないのを露わにした。
「あぁー……はい、気を付けます」
そらはティナの心配を正面から受け止めず、ただ、苦笑いしながら曖昧に答えるのが精一杯だった。太陽の光がそらの表情を照らし、その影が地面に長く伸びていた。
「この杖なんだけど、普段使う勇気はないです。規格外過ぎです!! わたしまで規格外扱いされてしまいますよ……」
ティナは杖を抱え直し、困ったようにそらを見上げた。その瞳には、高性能すぎる道具を手に入れたことへの喜びと、想いを寄せているそらからプレゼントされた嬉しさと同時に、どう扱えばいいのかという戸惑いが浮かんでいた。
「だったら、威力を落とす練習をすれば?」
そらはあっさりと提案した。
「何ですか、その普通の人と逆を行く練習は!」
ティナが額を押さえ、少し呆れたように言った。普通の魔術師が日々、魔力の増強に励むというのに、自分は今、威力を抑える方法を考えなければならないのかという驚きが込められている。彼女は軽く肩を落とし、新しい杖の扱いに、早くも頭を悩ませ始めた。
「せっかく作ったからさ、ティナに使ってほしいなーって思って」
そらが少し拗ねたように、口元を尖らせて言った。まるで、気に入ったおもちゃを使ってもらえない子供のような口ぶりだった。
その言葉に、ティナは頬をカーッと熱く赤らめ、居た堪れなくなって、視線を足元の石ころに逸らした。そらの純粋な好意と、この規格外の杖をどう扱えばいいのかという葛藤が、彼女の中で渦巻いていた。
「人目に付かない所だったら、良いですけど……」
そう答えるのが精一杯だった。
「だったら、竜の谷の付近でも冒険をしてみる? 人はいなさそうだし」
そらの提案は、あまりにも常識を逸脱していた。その言葉を聞いたティナは、驚愕で目を丸くした。彼女の背筋に、冷たいものが走る。竜の谷は、高ランクの冒険者でさえ近寄らない場所で別名は”死の谷”とも呼ばれていた。上位の魔物に加えて、ドラゴンも現れる場所として恐れられていた。
ピンク色を基調とした、フリルがたっぷりと付いた可愛らしいデザイン。水色と白のドット柄。そして、今の彼女が気に入っているストライプ柄の、色違いや少しデザインを変えたもの。 十種類くらいのデザインを適当にイメージし、魔力を練り上げて次々と創り出していく。完成した下着をサナに渡すと、彼女は目を輝かせてそれらを受け取った。「わぁ……凄いぞ、そら!」 彼女はその中から、ピンク色のフリルが付いたものと、水色のストライプ柄のものを嬉しそうに選び、その場でパジャマの下に履き替え始めた。「……サナさん、見えてましたよ、ちゃんと。これは想定外の究極のチラリだな……」 パジャマのズボンを履く直前、新しい下着を身に付けるその一瞬。俺の視線は、彼女の無防備な動きを完璧に捉えていた。狙ったわけではない、本当に想定外の出来事だった。しかし、その光景は俺の脳裏に深く刻み込まれた。 サナは履き替えを終えると、満足げにパジャマのズボンを履き、ベッドに潜り込んできた。「これで、明日のパンツも安心だな」 彼女は俺の腕を抱きしめ、幸せそうに目を閉じた。俺も彼女の温もりを感じながら、先ほどの予期せぬ出来事を思い出し、少し複雑な気持ちになりながらも、静かに目を閉じた。闇のテントと、紫の独占欲 サナが着替えを終え、俺の隣にそっと横たわった。 寝る前の彼女は、いつものトレードマークであるツインテールを解いている。束縛から放たれた髪は、シーツの上に扇状に広がり、魔法の光に照らされて透き通るような紫色の輝きを放っていた。 普段の快活な印象とはガラリと変わり、そこには息を呑むほどに美しい一人の美少女がいた。その神秘的な美しさに思わず見惚れ、吸い寄せられるようにその髪へと手を伸ばす。 指先を滑らせると、驚くほどにサラサラとした質感と冷ややかな感触が伝わってきた。そのまま慈しむように、優しく頭を撫でてみる。「なんだ? 急にどうしたんだ?」 サナが少し戸惑ったように、上目遣いで俺を見てきた。
サナは俺の腕をこれ以上ないほど強く抱きしめ、無言で「近寄るな」という威圧感を放っていた。「……邪魔しちゃって悪いわね」 女性がその殺気とも取れる独占欲にたじろぎ、引き気味に距離を取る。「余計な事を言うな!」「俺たちは助けて貰っているんだぞ、礼儀を欠くな」 男とリーダーが慌てて割って入るが、場の空気はどこか冷え冷えとしていた。「気にしてないので大丈夫ですよ」 俺は苦笑いで取りなそうとしたが、リーダーは困ったようにサナの方を指差した。「いや……そちらの女の子が、かなり気にしている様なので」 隣を見れば、サナは依然として女性を睨みつけたまま、獲物を守る猛獣のような目つきで俺にぴったりと張り付いていた。囁きの魔法と静かな夜の宴 サナの尖った視線があまりに鋭いので、俺は彼女の細い肩を引き寄せ、耳元に顔を近づけた。「サナが一番可愛いから大丈夫だよ」 熱を帯びた小声で優しく囁くと、彼女の体から一気に力が抜けた。つい先ほどまで猛獣のように女性メンバーを睨みつけていたのが嘘のように、その表情は蕩けるような笑みへと変わる。 現金なものだが、これでひとまず問題は解決したようだ。「すまない。助かった」 リーダーが安堵したように息を吐く。差し出した肉は六人全員に行き渡ったようで、彼らは慣れない手つきながらも焚き火で肉を焼き、香ばしい匂いを漂わせていた。「この肉は、何の肉なんだ?」 男が脂の乗った肉を頬張りながら尋ねてくる。「猪ですよ」「こんなデカい猪を捕ったのか。凄いな」「町じゃ猪の肉は中々売ってないから……贅沢だわ!」 女性メンバーも、先ほどのサナの殺気を忘れたように夢中で肉を味わっている。「猪も旨いんだな。……まあ、普通のハンターじゃ捕っても持って帰るのが一苦労だからな。一頭丸々なんて、到底運びきれな
「あっ! そうだったな。忘れてた。自然とかぁ……」 彼女は何やら深く納得した様子で、顎に手を当てて考え込み始めた。その真剣な眼差しは、どうすればより「自然なチラリズム」を演出できるかという、およそ戦場には似つかわしくない作戦を練っているかのようだ。 考えに耽る彼女をその場に残し、俺は現状を確認するためにリーダーの元へと足を向けた。「目的地は、まだ先なんですか?」 リーダーは地図を広げ、険しい表情で周囲の地形を見渡しながら答えた。「……今日は、ここで夜営することになりそうだな」 その言葉を聞いた瞬間、俺の心には僅かな溜息が漏れた。正直に言えば、この退屈な道中には少し飽きが来ている。一息に片付けてしまいたいのが本音だが、夜の山でのキャンプというのも、それはそれで趣があるかもしれない。「まぁ……付き合いますか」 俺は自分に言い聞かせるようにそう呟くと、夜営の準備を始める一行を眺めながら、今夜の過ごし方に思いを馳せた。宵闇の野営とサナの独占欲「夜営ができそうな場所を探しながら進みますか?」「ああ。そうしよう」 リーダーの同意を得て、俺たちは再び歩き出した。陣形は先ほどと同じく、俺とサナが前衛を務め、他のメンバーが後衛に回る。だが、もはや後衛としての機能は果たせていなかった。彼らは魔力を使い果たし、ただ必死に俺たちの背中を追い、足を引きずりながら付いてくるのが精一杯といった様子だ。 しばらく進むと、視界が開けた平坦な場所を見つけた。周囲の警戒を済ませ、今夜はここで夜を明かすことに決める。「……そらと、一緒に寝る!」 テントを張り始めた頃、女性メンバーたちがサナを女子用のテントに誘ってくれたのだが、彼女は即座に、そして断固としてそれを拒絶した。俺の腕をしっかりと抱き込み、離れるつもりなど毛頭ないという意思表示に、女性陣も苦笑いしながら引き下がるしかなかった。 俺はアイテムストレージから、自前の六人用大型
動揺を隠せずに問い返すと、彼女はすべてを見透かしたような、悪戯っぽい瞳でこちらを見つめてきた。「いつも、わたしが座っている時にパンツを見てニヤニヤしているではないか」「あ、うん。いつも楽しみにしてる」 開き直って正直な欲望を口にすると、彼女はさらに満足そうに身を乗り出し、その「成果」を惜しげもなく俺の視界へと押し出してきた。秘められた献身と無邪気な誘惑「朝もわたしの着替えを見てニヤニヤしてただろ?」 図星を突かれ、俺は思わず視線を泳がせた。「あ……はい」 正直に白状すると、彼女はさらに得意げな表情を浮かべ、謎の種明かしを始めた。「部屋を出る時に、そらが喜びそうなパンツに着替えたのだ」「え、わざわざ着替えてくれたの?」「そうだぞ」 まさか、出発直前のあの僅かな時間に、俺の好みを反映させるためだけに衣装を選び直していたとは。その健気な執着心に驚きを隠せない。「ありがと。ビックリした」「もっと見て良いぞ」 感謝を伝えた直後、彼女はとんでもない行動に出た。座ったまま、さらりとワンピースの裾を両手で掴み、迷いなく上へと捲り上げたのだ。剥き出しになる白い太腿と、先ほど話題に上がったばかりのストライプ模様が、山の澄んだ空気の中に惜しげもなく晒される。「ちょ、他の人に見られちゃうって!」 俺は慌てて周囲を気にしながら制止の声を上げた。他のメンバーは少し離れているとはいえ、いつこちらを振り返るか分かったものではない。「え、それは嫌だな……」 俺の焦りに気づいたのか、彼女は一転して慌てた様子で、バサリとスカートの裾を元に戻した。自分だけの特等席という意識が働いたのか、急に恥ずかしくなったのか、その頬は心なしか赤らんでいる。「そらは、パンツが好きだなぁ」 彼女は呆れたような、それでいてどこか嬉しそうな声音で呟いた。「それは……サナが可愛いからだ
「パーティの手伝いで支援をする、ということでいいんだよね? よろしく。こっちは……相棒のサナ」 俺が隣を紹介しても、サナは彼らには一瞥もくれない。ただ俺の背後に潜り込むようにして、その細い腕でぎゅっと腰に抱きついていた。「私は、このパーティのリーダーをしている。今回は、よろしくな」 リーダーの男は、俺に密着するサナの様子をチラリと見て苦笑いを浮かべたが、特に言及せずにスルーしてくれた。「今回は、頼りにさせていただきます!」 メンバーの一人である女性が、丁寧な口調で頭を下げる。「そろそろ行きますか」 俺の促しに、リーダーが引き締まった表情で頷き、注意を促してきた。「ああ。ただ、今回の採集場所には強い魔獣が出るらしい。十分に気をつけてほしい」「こちらは問題ないと思うよ。ボクたちは後方で支援に回るから」「ああ、それで構わない」 そう短く言葉を交わすと、俺たちは賑やかなパーティに混じり、結界石の眠る場所へと足を踏み出すことになった。山道に響く精霊の鼓動 馬車に揺られること丸一日。 道中の馬車内では、サナは片時も離れようとしなかった。俺の膝を独占して枕にし、幸せそうに目を細めて過ごす。それに飽きると、今度は俺の手を強引に掴んで自分の頭に乗せ、満足そうに撫でさせていた。時には俺のお腹に顔を埋めてその温もりを堪能したりと、彼女なりに退屈を紛らわしていたようだ。 辿り着いた先は、険しい斜面が続く深い山だった。 採集場所を目指し、一行は山道を歩き始める。 隣を歩くサナは相変わらずやる気がなさそうで、足取りもどこか頼りない。決して不機嫌なわけではないのだが、冒険そのものには興味が持てないといった様子だ。 俺は歩きながら、ふと気になっていたことをリーダーに投げかけてみた。「リーダーさんの剣は精霊が宿ってるの? かなりレアじゃない?」 その問いに、リーダーは驚いたように足を止めた。「え? 見ただけで分かるのか?」
ギルドへ向かう朝の情景 今日も当然のように、ギルドへ顔を出す予定でいる。 朝の光が差し込む寝室で、まずは体に密着して眠っているサナを優しく引き剥がした。それから自分の着替えを済ませ、まだ夢の中にいる彼女を起こしにかかる。 起こし方は、もうすっかり定番になった「ほっぺ遊び」だ。指先で柔らかい頬に触れると、吸い付くような肌の感触が指に伝わってくる。 その感触は驚くほど心地よく、触れているこちらまで心が解きほぐされていく。サナ自身も、微睡みの中でくすぐったそうに、それでいて嬉しそうに口角を綻ばせている。俺はその愛らしい反応を楽しみながら、何度もその弾力を指先で確かめるようにぷにぷにと突いた。 やがてパチリと目を覚ました彼女を横目に、俺は自分の支度をすべて終えてしまう。 特にやることもなくなったので、ベッドの端に腰を下ろし、サナが着替える様子をぼんやりと眺めて待つことにした。今日の彼女が選んだ下着は、清々しい水色だ。 手持ち無沙汰な時間なのだから、こうして彼女を見守るのも仕方のないことだと言い訳しながら、俺は穏やかな朝のひとときを過ごしていた。ギルドマスターからの呼び出し 二人で朝食を済ませると、いつものようにギルドへと足を向ける。 ギルドの重厚な扉を潜ると、最近では顔も知らないハンターたちからも挨拶を投げかけられるようになった。毎日欠かさず通っているからだろうと本人は思っているが、その実、上級ハンターたちが裏で教育を施している結果だという自覚はない。 最近の依頼の受け方も変わってきた。掲示板の依頼書を眺めるよりも、直接窓口へ向かい、受付嬢に言葉を交わして決めるのが常となっている。彼女もまた、今では専属の秘書のような立ち居振る舞いで出迎えてくれる。「おはよう。今日は何かある?」 俺が声をかけると、受付嬢は少し表情を引き締めて答えた。「あ、ギルドマスターが探していましたよ。すぐにご案内しますね」 久しぶりの呼び出しに、背筋を嫌な予感が通り抜ける。案内された部屋の扉を開くと、そこには相変わらずの威圧感を放つ男が待ち構えていた。
「別に気にしてないから良いよ。……ところで、一つ聞きたいんだけど。このダンジョンの攻略の目的って、具体的に何?」 俺の問いに、彼らは武器を納め、汗を拭いながら答えてくれた。「攻略したという名誉とお宝……それからレベル上げ、といったところか」「歴史的、学術的な資料としても価値があるだろうしな」「なるほど。で、攻略ってどうすれば『完了』になるの? 最下層まで行けばいいのか、それとも魔物を全部討伐するとか?」「一般的には最下層で秘宝を手に入れるか、主(ボス)を
「……そらが大丈夫と言っているのだ。なら、大丈夫に決まっているだろう! お前たち、わたしのそらを疑うな!」 サナはハンターたちを一喝すると、俺の二の腕に再びギュッとしがみついた。 不安なはずなのに、彼女の身体からは期待に満ちた熱が伝わってくる。瑞々しい胸の弾力が俺の腕を包み込み、彼女の甘い吐息が耳元を掠めた。「そういうなら……勝手にしろ。どうなっても知らないからな……ったく、命がいくつあっても足りやしねぇや」「ああ……
念のため、この件を正式な「盗賊討伐と殺人事件」として処理するために、町の兵士を証人として一人連れて行くことにした。(町中に盗賊が居るので、剣術が出来ず、遠距離攻撃主体の魔法使いで負けず嫌いのアリアは、今回の出番は無さそうなので心配だった。) そらはそう思いながらも、レナ、アリア、フィオを率いて、探索魔法で見つけ出した盗賊の拠点へと踏み込んだ。古びた建物の中には、武装した盗賊たちが十数人集まっていた。 逃げ帰っていたリーダー格の盗賊が、救援を求めて叫んだ。「こいつらです!俺の手下を殺したのは!」 そらは一歩前
レナの頭の中は、次々と押し寄せる情報と恐怖で完全に機能停止寸前だった。(え? 何してるっすか? ドラゴンっすよ? ペットになるものなんすか? ウサギがエサって足りるの? ドラゴンに乗れるの? フィオはドラゴン使いなんすか? 自分はどうするべきっすか?) 彼女の思考は堂々巡りを続け、ただ茫然と立ち尽くすことしかできなかった。「……」 レナが混乱している間に、フィオはまるで散歩でも終えたかのように、ドラゴンからひょいと降りて、レナの元へとトコトコと歩いてきた。「いじめないでね」







